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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

WHO年次総会、「気候変動と健康に関するグローバルアクションプラン」を採択

2025.06.12

2025年5月19日から27日にかけて、スイス・ジュネーブにて世界保健機関(WHO)の年次総会である第78回世界保健総会(WHA:World Health Assembly)が開催されました。世界の医療・公衆衛生に関する様々な議題が取り上げられ、パンデミック条約の採択などを含め大きな進展を見せたものもありました。

会期中には、プラネタリーヘルスの領域、特に気候変動と健康(Climate and Health)に関して議論されるとともに、様々なサイドイベントも開催されました。そのような中、2025年5月27日に、「気候変動と健康に関するグローバルアクションプラン(Global Action Plan on Climate Change and Health)」が採択されました。このプランは、本総会に先立つ同年2月に開催された156回のExecutive Board Sessionにてドラフトが作成されていましたが、無事に採択に至りました。

このアクションプランでは、①リーダーシップ、連携、アドボカシー、②エビデンスとモニタリング、③国レベルの行動と能力構築の3つの行動原則によって構成されています。各原則には、それぞれグローバルターゲットが設定され、その達成のために必要な事項(適応と緩和の取り組みに関する目的や、加盟国・WHO事務局などのステークホルダーに対する行動提案など)が記載されています。

プラネタリーヘルスの観点から、このアクションプランが重要なものであることはいうまでもありませんが、注目すべきポイントとして、このアクションプラン実施を支援する枠組みの1つとしてプラネタリーヘルスが明記された点が挙げられます(Table 1. Additional frameworks and principles that can support implementation参照)。これは、WHOの今後のアクションにおいてプラネタリーヘルスが重要な概念であることを示しており、今後、このアクションプランに基づく施策の展開が注目されます。