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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

気候変動が投票行動に影響、世論調査にて判明

2025.06.05

2025年5月26日、一般社団法人ジャパン・クライメート・アライアンス(JCA)は、全国5,000人を対象とした世論調査の結果を公表し、気候変動への関心が有権者の投票行動に大きな影響を与えていることを明らかにしました。この調査は東京大学未来ビジョン研究センターの協力の下、同年4月30日から5月7日にかけて実施されたもので、約1か月後に控えた東京都議会選・参議院選を前に、気候変動と選挙の関連性を調査したものです。

調査結果によると、現在までに気候変動の悪影響を受けていると考える人は85.9%に上り、この2〜3年で悪影響が大きくなっていると感じる人は72.3%に達しました。特に深刻だと考えられている影響は「農作物の品質や収穫量・漁獲量の低下」(54.9%)が最も多く、次いで「食品価格や電気代などの生活コストの上昇」(44.4%)が続きました。選挙における関心度では、次の選挙で候補者を支持する際に「エネルギー・環境・気候変動」に関心を持つと回答した人は71.2%に達し、「景気・物価高対策」(84.0%)に次ぐ高い関心を集めました。また、気候変動対応を強調する候補者に関心を持つ「気候政策関心層」が全体の47.6%を占め、そのうち実際に「投票をする」と回答した人が全体の33.1%に上りました。

この調査結果は、プラネタリーヘルスの観点からも重要な意味を持ちます。気候変動が農業生産性の低下などを通じて人々の栄養状態や健康に影響を与える現実が、有権者の政治参加意識を高めているといえます。政治家や政策立案者にとって、気候変動対策は、環境政策の枠を超えたものであり、パブリックヘルス(公衆衛生)や食料安全保障を含む健康に関連した包括的な課題として捉えることが重要であるといえます。