国連報告書、プラネタリーヘルスへの投資を訴える
2025.12.14
国連環境計画(UNEP)は12月9日、第7回国連環境総会(UNEA-7)が開催されたケニア・ナイロビで、地球環境に関する最も包括的な評価報告書「第7次グローバル環境概況(GEO-7)」を公表しました。GEO-7は、82か国287人の専門家が参加して作成され、気候変動・生物多様性喪失・環境汚染などが世界にどのような影響を及ぼしているのか、社会経済的な側面にも着目して分析しています。
本報告書では、現在の社会経済活動を継続すれば、環境劣化による人的・経済的損失はさらに拡大し、国家の繁栄そのものが脅かされると警鐘を鳴らしました。一方で、経済・金融、エネルギー、食料、資源・廃棄物、環境という5つの主要システムを社会全体・政府全体で転換することによって2050年以降に利益が生じ始め、2070年には年間少なくとも20兆ドル、さらに将来的には100兆ドル規模のマクロ経済的利益が見込まれるとしています。大気汚染対策などにより2050年までに900万人の早期死亡を防ぎ、栄養不足や極度の貧困から数億人を救える可能性も示されました。
報告書が強調するのが、GDP偏重からの脱却です。人間資本や自然資本を含む指標を用いることで、脱炭素、循環型経済、持続可能な農業、生態系の回復といった取り組みを正当に評価・促進できるとしています。この報告書は、まさにプラネタリーヘルスへの投資の重要性を意味するものであり、UNEPのアンダーセン事務局長も本報告書の公表に当たり、各国にプラネタリーヘルス投資の推進を求めています。